普及理由はそれぞれ2007年09月28日

 僕のようなモテナイ独身中年にとって、コンビニ店員のオネエチャンとの触れ合いは貴重な若い女性との接触の場でもある。
 「お箸はご入り用ですか?」「いいえ」
 これだけの会話でも、女性との会話においてモテナイ独身中年平均女性会話一日分の総量に匹敵する。

 更に、コンビニ店員のオネエチャンとの触れ合いのクライマックスは、なんといっても釣り銭授受時においてある。
 釣り銭授受において、オネエチャンの指先と、僕の指先が、ほんの一瞬、すっと触れあうときがある。
 この刹那、電流のようなものが全身を駆けめぐる。
 パワーの強いオネエチャンだと、このたった一瞬の接触で、それまでの一日の疲れ・怒り・絶望・落胆・失念といったダークサイドなものが一瞬で吹き飛ぶ時すらある。
 日本の有数な霊的パワースポットにも匹敵する癒しの効果がある。
 これを称して僕は”コンビニヒーリング”と名付けている。
 これで更に品物を渡す時にも指が触れあっちゃったりすると、ちょっともうオネエチャンに恋しちゃったみたいな感じになる。
 だからオネエチャンレジの時は、ピッタリの小銭を持っていても絶対大きい札で支払いをしていた。

 そんな楽しいコンビニ店員のオネエチャンとの触れ合いの一時に、最近ちょっと異変が起こりつつある。
 ことの起こりは、セブンイレブンの電子マネーnanacoのカードを使用し始めたことからである。
 僕はコンビニの中でもセブンイレブンの利用が最も多く、帰りがけに寄ることが多い。確かに一々バッグから財布と小銭入れを出す手間も省け、定期入れにnanacoを入れてあるので、ポケットから定期を出せば、そのまま使えるのは便利なのである。
 nanacoはオネエチャンから勧められ使い始めたのであるが、これで最近オネエチャンとの間にに釣り銭授受の時間が消滅してしまった。
 オネエチャンとの間の、生肌の触れ合いの機会が減少してしまった。

 現在の職場の最寄りのコンビニは、セブンイレブンでは無く、ampmで、ここも最近良く使用するようになった。
 このコンビニは、なんとオッサンの店員が多かった。
 当初オッサンの店員と生肌の触れあいをしなければならないハメになって、すっげえブルーになっていた。
 ところがここでいいことを思いついた。
 ampmはお財布携帯のEDYが使える。これを使えばオッサンとの生肌の触れあいを回避できる。
 今まであまり使っていなかったお財布携帯のEDY、ここにきて俄然役に立つ時がきた。

 EDY、一旦使い始めると、業務中に一々財布と小銭入れを持っていかずに済むので、これまた便利なのである。
 こうしてオッサンとの生肌の触れあいはしなくて済むようになったのであるが、人生とは皮肉なもんである。
 オサイフ携帯を使い始めた途端、シフトチェンジしたのか何なのかようワカランが、今度はオネエチャンのレジになる機会が増えてしまった。今はオッサンレジになる機会がほとんど無い。苦笑も甚だしいのであるが、便利さで今はオネエチャンレジでもオサイフ携帯を使っている。

 まあ、そんなこんなで、EDYとnanacoとSUICAで、大抵のコンビニは事足りてしまうので、最も小銭の使用頻度が多かったコンビニで、電子マネーを使うことが多くなり、最近小銭を扱う機会が激減してきた。
 EDYに関しては、当初オッサンとの接触を避けるため、という、まあ愛を標榜する人間としては道徳的にどうか?という ダークサイドな理由ではあるが、その理由によって、僕の中ではかなり普及し始め、今では普通に重宝している。
 かつてVHSビデオが広まったのだって、エロビデオが見たい、という野郎陣のダークサイドな欲望によって一気に普及を遂げたと聞く。
 意外にダークサイドな理由で、生活が便利になっている側面も我々の日常にはあるようだ。

 電子マネーについては、これであと、スーパーや書店、それからレンタルビデオ店などに普及してくれると、僕もマジでコインや札を使用しなくなる日も遠く無いのでは無いか?、ということをふと思う今日この頃です。