シーズン4見どころ【晴】2005年11月26日

「24」のシーズン4を見終えた。
 「24」は常に緊張の連続ではあるが、そんな中、今回は個人的に、いつもより感動のシーンが多かった気もした。

 ちょっと思い出すだけでも印象に残ったのが、
 ・かつての部下トニーアルメイダがジャック・バウアーを助けに現れるとこ。
 ・スポーツ店の若者がジャックに加勢すると決めたところ。
 ・オードリーの夫でジャックの恋敵ともいえたポールが、ジャックを助けたところ(後にジャックのせいでポールを死なせてしまという皮肉が起こるのだが・・・)。
 ・トニーが人質から助け出され、ミシェルに電話するところ。
 ・・・などというように、自ずと目がうるんでくるシーンも幾つかある。

 あと今回印象に残った点が、メインのテロ阻止のプロットに加えてサブプロットで描かれる二組の恋愛模様だった。
 一組はジャックと、ジャックの現上司である国防総省長官の娘のオードリー。
 それから「24」ファンにはお馴染みの、トニー・アルメイダとミシェル・デスラー。

 ジャックの方は、ちょっと悲しい結末だ。まあ話の展開上、これは仕方ないのだろう。これはこれでジャックらしくてイイのだ。

 トニーとミシェルの方は、最初ミシエルが現れた時は、二人は別れた体になっていて、なんかとても切なかった。つーかちょっとショックだった。
 「24」のキャラでもミシェルは、僕のお気に入りなのである。

 毅然とした態度の中に、ふと見せる「女」が、なんかとても愛しいというか、ミシェルを困らすやつは許せねえ!、みたいな、なぜかかなり感情移入してしまうキャラのである。
 なぜかミシェルが出ると、ミシェル目線で、このドラマを見てしまうくらい、なんか入り込んでしまう。

 最初トニーと再会した時、殺伐とした感があって、しかも現上官のオッサンとくっついてる、みたいな変な感じになっていて、有り得ねえ、と思っていたのだが、それも後半、実はトニーを思い続けていた一途な想いが、やはり同じくミシェルを思い続けていたトニーと通じ・・・、あっ、ここまで言っちゃうと、完全ネタバレか。ん?、もう遅いって?。

 まあ、とにかく終盤での、トニーを思うミシェルの女の表情は抜群だった。
 特に、トニーが本部勤務を離れ現場へジャックの応援に向かう時に、ミシェルが彼を呼びとめて言う台詞、そして何も言わず抱きしめてキスするトニー。キャーッ!、素敵〜!。

 一方ジャックは悲惨だ。
 ネタバレ構わず言ってしまうと最後は、恋も社会的地位も失ってしまう。
 言うまでも無い最大功労者なのに、命は狙われるわ、人間として恋愛も否定されるは踏んだり蹴ったり。
 テロ阻止の賞賛は、何もしなかった役立たずの大統領が持っていってしまうという、社会にありがちな矛盾した構造も見られる。

 黒澤明の「七人の侍」でも見られたテーマであるが、トラブル解決した真の功労者は得てして、多大な犠牲を払ったにも関らず報われないものなのだ。図らずも勘兵衛とジャック・バウアーがオーバーラップしてくるのである。

 それにも関らず、ラストシーンが、心なしか清々しく感じるのはたぶん、ジャックがこれでようやく束の間ではあるかもしれぬが「ダークサイド」から解放されたことを象徴しているのからかもしれない。
 そして立ち上る朝日がジャックの再出発を祝福し、天はジャックにちゃんと報いてくれている、と暗示しているかのように感じさせてくれるからかもしれない。