ウイングス・オーヴァー・アメリカ2013年05月25日

5/29にはポール・マッカートニーがウイングスとして発表したライヴ・アルバム「『ウイングス・オーヴァー・アメリカ(旧題:ウイングス U.S.A. ライヴ)」が<アーカイヴ・コレクション>の第五弾として発売されるらしい。

このアルバムは当時全米では1位を獲得したが、全英ではそこそこの8位だったようだ。

この事実を推測してみると、確かにイギリス人の気持ちもわからなくもない(笑)。

イギリスと言えば、やはりあの偉大なビートルズの国である。
当時ビートルズが解散し、メンバーのソロ活動が注目される中で、ポールはジョンとジョージには、やや遅れる形で、ようやくアクセルをかけてきたような時期であった。

ジョンとジョージの作品に比べると、ポールのそれは、やや商業主義に走り過ぎている、と見られていたような空気が当時あったように思う。
であるから、ライブ盤というとヒット曲を集めて作った、商業主義の極み、みたいな思われ方もあったようには思う。
それが結果的に何となく、オリジナル盤>ライブ盤という空気を作っていたようにも思う。

アメリカには、そうした空気は特に無かっただろうが、こと本国イギリスでは特にそうしたビートルズメンバーに対して神聖化ゆえの「こだわり」みたいなものが強く根付いていたのではないかとも推測する(笑)。

なぜなら、日本の少年ファンだった僕らがそうだったから(笑)。

しかし、30年以上の時を経た今、このアルバムをそうした先入観を取り払って、ある洋楽の1バンドが出した全盛期のライブ盤として素直に聴いてみると、なんて素晴らしいクオリティの高いライブ盤なんだ!と驚嘆する(笑)。

ビートルズファンにとってはポールが出した「Back in the US Live 2002」なども良かったが、やはりこのウイングス・オーヴァー・アメリカでのポールは若くて、声がまだ艶やかで張りがあっていい。

ポールは<アーカイヴ・コレクション>として、今までも「バンドオンザラン」「マッカートニー」「マッカートニーⅡ」「ラム」を出してきた。

今改めて聴くと、当時と違った感慨が湧いてくるものだ。
何しろ「ラム」などは当時酷評されていたが、今では評価が逆転していたりする。

長い年月を経ていくと、音自体は全く変わっていないのに、作品が生き物のように印象を変えていくというのは、本当に興味深く面白いことだと思う。
こうしたことがあると、良い音楽を聴いていて本当に良かったと思う。